電話自動音声案内基盤の構築

電話自動音声案内基盤の構築

〜 ヘルプデスクの問い合わせ負荷改善 〜

事例:ヘルプデスク(代表番号)にお問い合わせが集中する

undefined

 

ヘルプデスク(代表番号)の課題例

例1)「ヘルプデスク」=「困った時の問い合わせ先」というイメージが一般的で、簡単に解決できる様な内容でも問い合わせが入り、本来、問い合わせるべき内容や緊急性・重要度の高い(クリティカルな)問題の問い合わせが滞ったり、対応が遅れる場合がある。

例2)問い合わせ内容とヘルプデスク担当者のスキル(担当分野)がアンマッチで、適切な解決に導くまでに時間が掛かる場合がある。

例3)在宅勤務で、ヘルプデスク(電話設置場所)に人がいない場合、受電できない場合がある。
不在前日に電話転送の設定を実施すれば受話可能だが、(例2)の状況が発生する。
※転送先を複数割り当てられないなどの課題も残る。

例4)災害時や停電時など、物理的に受電できない場合、復旧に時間が掛かる可能性がある。

 

AWS を活用した音声案内基盤

AWS が提供している「コネクトセンター」サービスである「Amazon Connect」を利用します。
「Amazon Connect」では、AWSの電話回線契約を新規締結するか、既存回線の移管(※1)も可能です。
音声案内やコンタクトフローの作成は、Web画面上にフローを配置したり、ガイダンス内容はキーボードで入力可能です。
また、プッシュダイアルの入力にも対応可能で、入力内容を元に振り分け先の紐付けも比較的容易に作成が可能です。

※1:既存回線の移管に関しては、AWSの規定や移管元の回線業者の規約により、実施可否が異なります。

 

Amazon Connect を使用するメリット

①お問合せの切り分けに掛かるヘルプデスクのコスト(時間ロス)軽減が見込める。

②コンタクトセンターの立ち上げが短期間で実現できる。

③従来のコンタクトセンターの構築・運用に掛かるコストよりも費用を抑えられる可能性がある。

④申請すれば、同時接続数(回線数)の上限を比較的容易に変更できる。

⑤ヘルプデスクの拠点(会社)で障害・災害が発生した場合でも、問い合わせが止まらない。
転送先が拠点(会社)の場合は、Web画面上で転送先の変更が可能なため、ヘルプデスクの業務・機能が短期間で復旧できる可能性がある。

⑥すでに保有している電話番号を移管・流用することができる。(可否に条件あり)

 

Amazon Connect の課題

課題1)Amazon Connect で取得する日本国番号(+81)の電話番号は、個人では取得不可能。
電話番号の取得は、会社・団体など組織であることの証明書類を提出する必要があります。
2023年4月28日現在、個人では日本国番号を取得することはできません。

課題2)日本局番で取得できる電話番号には、下記のとおり制限がある。
・直通ダイヤル(DID)番号:
「050」プレフィックス番号
「03」東京都のプレフィックス番号(日本の他の都市の電話番号を提供していません)
・通話無料番号:
「0120」プレフィックス番号
「0800」プレフィックス番号

課題3)Amazon Connect から別回線への転送には、別途追加料金(転送通話分の追加料金)が掛かる可能性がある。
Amazon Connect 内部のユーザー間で転送した場合、追加料金は掛かりません。

課題4)Amazon Connect に移管した電話番号は、移管前の状態には戻せない。
Amazon Connect の設定で、電話番号の解除・開放(デタッチ)を実施した場合、同じ番号を自由に設定(アタッチ)できません。
※電話番号の管理がAWS側に依存するため、一度開放した電話番号は、他社に使用(アタッチ)される可能性があります。

 

Amazon Connect 導入時の注意点

既存の電話番号を移管して、Amazon Connect 環境を構築する場合は、いきなり既存の番号を移管するのではなく、AWS(Amazon Connect)が提供している「050」などの電話番号を使用し、環境構築と動作確認を実施してください。
動作確認の結果、想定通りの運用が実現可能と判断できた上で、既存の電話番号を移管する手続きに進むことをオススメします。
※(課題4)で触れたリスクを回避する意図があります。

主に活用するAWSサービス:

    • ・Amazon Connect
    • AWSが提供するクラウド環境のコネクトセンターサービスです。
      メリット:導入・運用が容易で、一般のコネクトセンターよりコスト軽減の可能性がある。
      課  題:日本局番(+81)の取得は、組織のみ可能という制約がある。(個人取得不可)
This entry was posted in エンジニアブログ. Bookmark the permalink.